プロップファーム用語集 ― チャレンジ・A/B-Book・EA・VPSまで32語

用語

チャレンジ、ドローダウン、A-Book/B-Book、EA、VPS、金融庁警告リストまで、プロップファーム・海外FXを調べるときに出てくる主要32用語を一次情報つきで整理した用語集。

プロップファーム・海外FXを調べるときに繰り返し出てくる主要32用語を、一次情報つきで整理した用語集。

チャレンジの合否条件からブローカーの内部化構造、EA・VPSの実務用語、金融庁の警告リストまで、比較記事を読むときに前提となる言葉をまとめた。用語ごとに出典を明記し、定義そのものが割れている語(C-Bookなど)は、割れていることをそのまま書いている。

チャレンジ・資金提供に関する用語

チャレンジ(Challenge / Evaluation)

利益目標・日次損失上限・最大ドローダウン・最低取引日数など、あらかじめ決められたルールにもとづいてトレーダーの合否を判定する、有料かつ期限つきの評価フェーズ(または複数フェーズ)。多くは実際の市場に発注されないシミュレーション口座上で行われる。詳細はプロップファームとは何かを参照(出典: FTMO公式)。

日次ドローダウン上限(Daily Loss Limit)

1取引日のうちに口座残高・有効証拠金が減ってよい上限のパーセンテージで、これを超えるとルール違反(ブリーチ)として口座が失効する。例: FTMO 2ステップ=5%、E8 Classic=4%、FundingPips 2 Step Pro=3%(出典: 各社公式サイト・ヘルプセンター)。

最大ドローダウン(Maximum Drawdown)

チャレンジ開始時の残高(または「固定型」の場合は開始残高そのもの)を基準に、口座がそこからどこまで下落してよいかを示す上限。例: FTMO 2ステップ=10%、FundingPips 2 Step Pro=6%(固定型)(出典: 各社公式サイト・ヘルプセンター)。

トレーリングドローダウン(Trailing Drawdown)

最大ドローダウンの基準線が、口座が到達した最高値(高値更新のたびの終値ベース残高)にあわせて上に動いていくタイプのルール。FTMOの1ステップチャレンジは、その時点までの最も高い日次終了残高を基準に許容損失を計算する「EODトレーリング」方式を採用している。反対に、開始残高に固定されたまま動かない方式は「固定型(static)」と呼ばれ、FundingPips 2 Step ProやAlpha Pro系プランがこれにあたる(出典: FTMO公式ブログ、FundingPips・Alpha Capital Group各ヘルプセンター)。

コンシステンシールール(Consistency Rule)

1日の利益が総利益に占める割合に上限を設け、一発の幸運な大勝ちだけで合格することを防ぐルール。E8 Marketsのファンド口座(「SimFi Performance」)は最も利益の大きかった1日が総利益の40%を超えてはならないという「40%ベストデイルール」を採用しているが、E8のチャレンジ段階自体にはこのルールはない。FundingPipsの「2 Step Model / 2 Step Standard」は35%、「FundingPips Zero」は15%という基準を設けている。Alpha Capital Groupは、オンデマンド出金の可否判定に、最も利益の大きかった1日の利益額を2.5倍した金額を最低合計利益として求める、実質的な40%ベストデイ相当の計算式を使っている(出典: E8 Markets・FundingPips・Alpha Capital Group各ヘルプセンター)。

利益分配率 / プロフィットスプリット(Profit Split)

資金付与後のトレーダーが受け取れる利益の割合で、残りは業者側の取り分となる。当サイトが確認した範囲では、Alpha Capital Groupが最大80%、FundedNextが最大95%、FTMOが2ステップで最大90%(1ステップは一律90%)、Fintokei・E8・The5ers・FundingPipsはプログラムによって最大100%まで幅がある。「最大◯%」という表現が多いのは、業者がプログラムや到達段階ごとに分配率を段階分けしているためだ(出典: 各社公式サイト・ヘルプセンター)。

スケーリングプラン(Scaling Plan)

資金付与後のトレーダーが、複数の出金サイクルにわたって決められた利益基準を達成し続けた場合に、口座残高そのものを段階的に引き上げていく制度。利益分配率の引き上げとセットになっていることも多い。The5ersのHigh Stakesはその代表例で、口座残高35万ドル以上の段階になるまで、分配率が80/20スタートから固定給与つきの100%へ段階的に上がっていく(出典: The5ers公式)。

ペイアウトサイクル(Payout Cycle)

資金付与後のトレーダーが利益分配を出金申請できる間隔・手続きのこと。固定間隔型(The5ers=14日ごと、Fintokei=14日ごと、Alpha Capital=14日・28日の隔週)、オンデマンド型(E8 Classicは条件を満たせばいつでも、Alpha One/Swingはオンデマンドのみ)、初回だけ長い周期型(FundedNext Stellar 2-Stepは初回21日、以降14日サイクル)など、業者によって設計が異なる(出典: 各社公式サイト・ヘルプセンター)。

リセット(Reset)

不合格・停滞したチャレンジ/ファンド口座を、通常は新規購入より割安な価格で再スタートさせ、残高やルールのカウンターを初期状態に戻すサービス。業界で広く行われている慣行だが、具体的な価格は業者ごとに個別確認が必要で、当サイトのvaultに一次情報として記録がない限りは未確認として扱う。

ファンド口座 / アカウント(Funded Account)

全チャレンジフェーズを通過したトレーダーが到達する状態で、以降は合否判定ルールではなく、利益分配率・ドローダウン・ペイアウトサイクルのルールが口座を統治する。ほとんどの業者でこの口座も引き続き業者内部の模擬台帳上にあり、トレーダー本人名義の実口座ではない(プロップファームとは何か参照)。

ブローカーの執行モデルに関する用語

A-Book

顧客の注文を、ブローカー自身が反対売買を引き受けるのではなく、外部の流動性プロバイダーへそのまま流す(パススルーする)執行モデル。ブローカーの収益はスプレッドやコミッションなどの手数料であり、顧客の損失そのものからは生じない(出典: QuadCode)。

B-Book

ブローカー自身が顧客注文の直接の相手方(カウンターパーティ)となり、そこで生じる市場エクスポージャーを外部に流さず自社で抱え込む執行モデル。英国FCAが繰り返し利益相反リスクを指摘しているモデルでもある(A-Book・B-Book・C-Bookの実態参照)(出典: QuadCode)。

C-Book / ハイブリッドモデル

複数の情報源が同じ言葉を違う意味で使っている、定義が割れた用語。「利益率や取引量に応じて注文ごとにA-Book/B-Bookを動的に振り分ける仕組み」とする説明もあれば、「単にA-BookとB-Bookを混在させるハイブリッドの別名」とする説明、「A-Book・B-Bookと並ぶ第三の分類名にすぎない」とする説明もあり、規制当局(FCA・ESMA・金融庁)がこの語を公式に定義した例は見当たらない(出典: EBC、Brokersome、EffectiveSoft)。

スプレッド(Spread)

通貨ペアの買値(ask)と売値(bid)の差のこと。「手数料無料」をうたうブローカーであっても、事実上の取引コストとして機能する(出典: OANDA Japan公式用語集)。

スリッページ(Slippage)

注文を出した時点の希望価格と、実際に約定した価格との差のこと。注文送信から約定までのタイムラグの間に価格が動くことで生じ、値動きの速い相場やサーバー負荷が高い局面ほど大きくなりやすい(出典: DMM FX公式FAQ、OANDA Japan)。

約定方式 ― Instant Execution

MT4/MT5で、画面に表示されている現在価格をそのまま注文に添えて送信する方式。ブローカー側はその価格での約定を受け入れるか拒否するかを選べ、価格が動いた後だと「リクオート」が発生することがある(出典: MetaQuotes公式)。

約定方式 ― Market Execution

注文送信時点では価格を固定せず、ブローカーのサーバーが実際に約定できた価格で取引を成立させる方式。リクオートは発生しないが、スリッページの影響を受けやすい(出典: MetaQuotes公式)。

約定方式 ― Exchange Execution

店頭(OTC)のFX/CFDではなく、実際の取引所に注文を送り、その取引所の時価で約定させる方式。取引所に上場している商品向けの執行方式(出典: MetaQuotes公式)。

ECN方式(ECN Execution)

ブローカーの電子コミュニケーションネットワークが、トレーダーの注文を複数の流動性プロバイダーの気配値プールへ直接つなぎ、ディーラーの裁量が入らない形で機械的にマッチングする方式。この方式を採用するブローカーはスプレッドへの上乗せでなく別建ての手数料を課すのが一般的で、この方式では顧客と反対売買をすることができないとされる(出典: AXIORY公式)。

STP方式(STP Execution)

「Straight Through Processing」の略で、ブローカーがディーリングデスクの人的介入なしに顧客注文を流動性プロバイダーへ仲介する方式。ECNとの違いは、複数の流動性プロバイダーの気配値をブローカー自身が集約・調整してから顧客に提示する点にある(出典: AXIORY公式)。

DD方式 / マーケットメイカー(Dealing Desk)

ブローカー自身が顧客取引の相手方となる方式で、他の業界用語でいう「B-Book」とほぼ同義として扱われる。STP・ECNと並ぶ執行方式の一分類として、ブローカー自身の教育コンテンツでも紹介されている(出典: AXIORY公式)。

ゼロカット(Zero-Cut / ネガティブバランスプロテクション)

急激な価格変動(窓開けなど)によって口座残高がマイナスになりそうな場合に、その不足分をブローカーが負担し、残高をマイナスではなくゼロにリセットする仕組み。日本国内の金融商品取引法は顧客の損失を業者が補填すること(損失補塡)を禁じているため、日本国内登録業者はこの仕組みを提供していない。海外業者と国内登録業者の構造的な違いであり、どちらが優れているかという評価ではない(出典: ThreeTrader公式)。

追証(オイショウ / Margin Call Debt)

含み損が証拠金を上回った際に、追加の資金を入金する義務のこと。ゼロカットのない日本国内登録FX業者で生じうる。この関連コンテンツによれば、FX関連の債務は日本の破産法上、非免責債権(免責が下りにくい債務)として扱われるのが一般的とされるが、この主張は業者自身のブログにもとづくもので、裁判例など公的な一次資料での裏取りはできていない(未検証、出典: ThreeTrader公式ブログ)。

取引ツール・環境に関する用語

ロットサイズ(Lot Size)

FXにおける標準的な取引単位。1スタンダードロット=基軸通貨10万通貨、ミニロット=1万通貨、マイクロロット=1千通貨が一般的な定義。プロップファーム・ブローカーは、これに加えて1取引あたり・1銘柄あたりの最大ロット数を独自にリスク管理ルールとして設けていることがある(一般知識)。

コピートレード(Copy Trading)

あるトレーダー(シグナル提供者)の取引を、自分の口座サイズや設定に応じた比率で自動的に複製する仕組み。MetaTrader公式の「シグナル」機能はこの仕組みのプラットフォーム標準実装にあたる(出典: TitanFX公式用語集、MetaQuotes公式)。

EA(Expert Advisor / 自動売買プログラム)

MetaQuotes社のMQL4/MQL5という言語で書かれ、MetaTrader 4/5端末上で動作する自動売買プログラム。あらかじめ組み込まれたルールに従い、手動操作なしに相場を分析し発注・決済・ポジション管理を行う(出典: MetaQuotes/MQL5公式ドキュメント)。

VPS(Virtual Private Server、FX文脈)

多くはWindows Serverが動くリモートの仮想マシンをレンタルし、そこでMetaTrader端末(とその上のEA)を、自宅PCやインターネット回線の状態に左右されず24時間動かし続けるために使う。実務的な選び方はEAをVPSで動かすにまとめている(出典: VPS各社公式料金ページ)。

レイテンシー(Latency)

発注や価格更新といった「行為」が起きてから、相手側(ブローカーの取引サーバーなど)がそれを受信・処理するまでの時間差のこと。物理的な回線距離と機材性能で下限が決まり、機関投資家の世界ではコロケーション(相手方のマッチングエンジンと同じデータセンター内にサーバーを置くこと)によって最小化される(HFTという世界参照)(出典: NYC Servers)。

HFT(High-Frequency Trading / 高頻度取引)

極めて高速かつ短い保有期間を特徴とするアルゴリズム取引の総称。国際決済銀行(BIS)の調査研究では、その一分野である「レイテンシー・アービトラージ」を、FTSE100構成銘柄で1銘柄あたりおよそ1分に1回発生し、勝敗の差は最も典型的な値で5〜10マイクロ秒(100万分の5〜10秒)という速度勝負として記述している(HFTという世界に詳細)(出典: BIS Working Paper No.955)。

ティックスキャルピング(Tick Scalping)

数秒以内でポジションを開閉し、ティック単位のごく小さな値動きを狙う(しばしば自動化された)取引スタイル。複数のプロップファームが、裁量的・戦略的な取引というよりレイテンシー悪用に近いとして、チャレンジ口座・ファンド口座での使用を明示的に禁止・制限している(出典: FTMO公式、The5ers公式ヘルプセンター)。

規制・安全性に関する用語

金融庁警告リスト(無登録業者リスト)

日本の金融庁・財務局が、金融商品取引法上必要な登録を受けずに金融商品取引業(FXを含む)を行っている業者に対して、2010年1月以降に警告書を発出した実績のある業者名を継続的に公表しているリスト。金融庁自身が「このリストは網羅的ではない」と明言しており、リストに載っていないことは登録済み・コンプライアンス上問題がないことを意味しない(出典: 金融庁公式)。

レバレッジ規制(日本国内)

日本国内の規制では、FXの証拠金取引で取引できる金額を預けた証拠金の25倍までに制限している。この規制は、日本居住者を対象にした無登録の海外業者には及ばず、金融庁が海外業者利用のリスクを繰り返し注意喚起している理由のひとつになっている(出典: 金融庁公式)。


用語ごとの一次資料は下記「出典」にまとめた。個社の条件差はプロップファーム比較VPS比較で横断的に確認できる。仕組み全体の流れはプロップファームとは何かから読み進められる。

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